`93年以来の冷夏の影響で、今年は全国的な米の不作が報じられた。米の不作にはため息がでる。でも反面、普段は当たり前に食べてるお米が、天候によっては食べられなくなる。そんなことを考えるにはいい機会にもなった。この豊かな食の時代、この国には世界中の食が輸入されている。でも、お米だけは国産に限るのだ。米だけはいつもの味がいいわけで、考えてみれば面白い話しなのだが、日本人にとってお米は、やはり切っても切れないものなのだ。それなら、実際に生産地と消費地を結び付けてるお米屋さんは、いったい今、どんなことを考えているのか? 東京・調布にある山田屋本店に聞いてみた。
「食べたいお米を消費者が選択する時代です。お米の選択肢も広がりました。そんな時代に私たち米屋は、ただお米を置いているだけでなく、生産地・生産者の心や情熱を消費者に伝えていくのは当然のこと。さらに、専用土鍋で本当に旨いご飯を炊く生活、TPOにあった米選びができる生活など、ライフスタイルに合わせてお米や道具を選ぶということを提案することが大切だと考えています。おそらく高度成長の時にこんなことを言っても、環境が許さなかったと思います。でも、21世紀はもう一度ゆとりを持った生活が見直されています。たとえば新婚さん夫婦が、一合炊きの土鍋でご飯を炊く生活があります。旦那さんが帰ってきて、お風呂に入ってビールを飲んで、そのときに火を入れれば、15分後には炊きたての最高においしいご飯が食べられる。そこで一日の疲れが癒されると思うんです。自宅に精米機がれば、午前中に精米して夕方に土鍋でご飯を炊いてみる。これがゆとりだと思うんです」と、秋沢淳雄専務は話してくれた。
 なんとなく大変そうなように思えるかもしれないが、そんなことはない。忙しい毎日の中でちょっとだけのゆとり、ちょっとしたこだわりが毎日を豊かにしてくれるのだ。
 さらに言えば、米作りを通して日本人のルーツに触れる。そういうゆとりが、21世紀には必要なのかもしれない。