常にサンディーは輝いている。

「soul of どんと2004」、「じゃがたら祭/クニナマシヱ」ふたつのトリビュートライブに出演したサンディー。「soul of どんと2004」では、どんとの「波」でエンディングを飾った。「クニナマシヱ」では、フラエンジェルたちと舞い、会場を魅了した。
 どんとと江戸アケミが駆け抜けていった同じ時代に活躍し、さらに今も、独自の大いなる世界を創造し続けるサンディー。01年には、自らが指導する「サンディーズ・フラスタジオ」を開校。現在では、生徒も500名になった。
 ふたつのトリビュートライブが終わった後、サンディーのフラスタジオを訪ねた。
ライブを終えて。

「両方のコンサートで、昔の人たちが楽屋に、みんな遊びに来てくれて、『あー!』みたいな感じでしたね。どんとを通して、いろんな人が立ち上がって、仲良くなって、何かをやろうとしている。光に向かって。すごくいい現象だなと思って。アケミさんは、個人的には、あんまり知らなかったんだけど、OTOのほうが仲良かったかな。それと、小野ちゃんのためにも出てくれないかってOTOに言われて。小野ちゃんは、海外ツアー、オーストラリア一緒にまわったメンバーだし、ぜひ、やらしてくださいってね」
 ライブを振り返って、サンディーが話し始めてくれた。
 ふたつのライブで、印象的だったのが、どんと、江戸アケミの同時代を生きた人たちを多く会場で見かけたことと、たぶん、ボ・ガンボスも、じゃがたらも、リアルタイムでは知り得なかっただろう若い世代の人たちが多かったことだ。世代を超えて、同じ空気を、ビートを、においを感じていた。
 「私、日本のミュージシャンで、言葉を赤裸々に人の心に届けられるシンガーが好きで、どんとは、そのひとりだと思う。真っ正面からロックしてくる。ストレートに来る。パワフル。言霊を、本当に、言葉の魂でたたきつけてくるから、ロックですよね。どんとの『波』をカバーさせてもらってるけど、どんとの言い回しで、ミラクルが起きて、泣けてくるのよね」


フラに学んだこと。

「言霊、歌詞としての言葉の魂を学ばせてもらった。チャントを学ぶと、無駄なこと、環境や自分の世界、生きていく世界を汚染する言葉を一切出しちゃいけない。思うことはしょうがない。でも、噴火させちゃいけない。そのうち消滅してしまうから。言葉は出すと、つばを吐いたように、絶対に取り戻せない。言葉の魂を取り戻せない。吐いた言葉の魂は、永遠に、その人の人生を、空を、ずっとまわって、永遠に飛び交う。浮遊霊のように、ずっとその人と一緒。生きている期間が長ければ長いほど、口から吐いた言葉の魂がいっぱいになる。だったら、そこら中、お花畑のような言葉の魂を置きましょう、っていうのがマナなのね。そうすると、本当に困った時、自分が吐いたその魂たちに引き上げてもらえる」


言霊は今も生き続けている。

 ここ10年、20年で、音楽の世界は大きく変わったような気がする。浮き沈みのサイクルが早くなり、大きなライブは、特別な場合をのぞいて、スポンサーがつかないと収支が合わないことも多く、ライブ以前にCDセールスの比重がますます大きくなり、小さなライブも各所で行われ、マイナーレーベルで活躍するミュージシャンも数多くいるものの、それで、十分食べていけるのかというと、疑問も残り、さらに、コンピュータ、インターネットの普及に伴い、数年前アメリカで騒がれたナプスター訴訟も記憶に新しく、著作権とは何なのか、音を楽しむってなんなのかとさえ、考えさせられる場面も多々ある。
 音楽産業というマーケットがどんどん大きくなってきて、音楽自体が変わってしまった、もしくは変わろうとしているのだろうか。
 いやいや、そんなことはあり得ない。どんとの言霊も、江戸アケミの言霊も、現実、いまも世間に浮遊していて、心を突き動かしてくれている。それが、今回のふたつのトリビュートライブだったと思うし、だからこそ、ふたつとも、素晴らしいライブだった。


サンディーズ・フラスタジオ
東京都渋谷区神南1-4-2
神南ハイム2階
TEL 03-3462-5380
FAX 03-5728-3727
www.sandii.info
光輝き、
みんな『日溜まり』になる。


「私、何がアートかって、まだわからないんです。ただ、夢中になっている、夢中にならされていると、その瞬間、エゴが感じられない。エゴが感じられない瞬間って、『輝いている』と思う。自分が魅せられた瞬間を追求していくと、その奥に自分をここまでつき動かしたソースが見えるんじゃないか。もし、見えたらそれは偽りもなく自分そのもので、魂が宿ったこの身体がすることを、精一杯やる。歌ったり、踊ったり、子育てでも、写真でも、絵描きでも、みんな一緒で、最短距離でストレートに誰かに表現する。エゴが感じられない、輝いているもの、ひょっとしたら、これがアートかもって思うんです」とサンディーは語っていた。
 ただ、気をつけていないと、本当のことを見失うことが多いのが、「いま」という時代なのかもしれない。本質は、何も変わっていないはずなのだ。
「自分たちの内側には、『気づき』っていう宝物がいっぱいたまっていて、それを素直に噴水のように出すと、誰でも、生き様がアートになる瞬間がある。踊りってそうなの。フラスタジオの生徒たちもそれに気づいた瞬間からフラエンジェルになる。自分自身をウェルカムして、胸の中から花になって咲く笑顔。自分のためじゃなくって、自分に微笑むの。そうすると内側からきれいになっていって、『気』が出て、見ている人も幸せにすることができる。世界中に、『せいのっ!』でいっぱい、つぼみ、花を咲かせたりすることができる。それが神業。神様が力を加えずにね。自分のことを信じて、心からしなやかに微笑む。そうして、フラそのものになれば、すごいことが起きる。みんなが発光体になって、みんなで『日溜まり』になるの」
 ツアーで世界中を回り、歌い、フラを学び、踊り、その瞬間、瞬間を大事にしてきた。ひとつの形にとどまらず、さらに可能性を追求しているサンディー。
 今年は、スイス、モントルージャズフェスにも招待されることが決まり、夏前にはニューアルバムもリリース予定とのこと。
 さらに素晴らしい言霊が生まれ、発せられ、地球上が光輝く花で埋め尽くされ、まばゆいばかりの日溜まりになるまで、サンディーは、世界を旅し続けていくのだろう。