新潟県佐渡島に、世界を旅し続ける音楽集団がある。和太鼓を軸に日本の文 化と音楽を再評価、再構築してきた彼ら「鼓童」のツアーは、日本中はもちろん、カーネギーホール(NY)等の欧米の一流ホールから第三世界までを巡り続けている。そんな彼らが88年以来、その本拠地で開催を続けるフェスティバル「アースセレブレーション」(以下EC)が、8月20日〜22日に開催される。島の自然と文化、世界各地から集まる参加者とこだわりの出店者、16年の年月が生んだ細やかな熟成感、それぞれが交わって生まれる自由な空気、個人的にはフジロックと並び称す極上のフェスティバルなのだ。
 とにかく行きなさい!そう自信を持って言えるECに、今年はさらに説得ある強力なゲスト、東欧ルーマニアからの“世界最速”のジプシー・ブラスバンド 「ファンファーレ・チォカリーア」がやってくる。2000年の初来日公演の衝撃が語り継がれる彼ら2度目の来日には、そのバックグランドを活写したドキュメンタリー「炎のジプシー・ブラス」(2002年ドイツ映画/7月3日〜吉祥寺バウスシアター、7月下旬〜渋谷ユーロスペース)の公開という強力なボーナスが付いてくる。この映画がまた強力!1000年以上と言われるジプシーの放浪と定住の文化を背景に、ルーマニアの地図にもない人口400人の寒村にかろうじて響いていたおじさん達の音楽が“再発見”されていく様がパワフルに写し取られていて爽快。そしてこの映画を通して、彼らの音楽が生まれた“村”や、さらに世界での活躍の対比に触れていると、どこか「鼓童」と重なるところに気がついてくる。そう、このふたつのグループ、対称的でありながらもそのバックグランドのアウトラインが微妙に重なって見えてくる。ジプシー1000年の歴史と日本の伝統、チョカリーアの“村”と鼓童の“島”、それぞれの世界的な活動。何重にも復層化され豊かな断面を見せながら照らし合うように見えるこのふたつのグループが、この夏の佐渡島でどんな音楽の姿を見せてくれるのか。映画で予習してから出発する、音楽の旅というのはどうだろう。