雨水だけで水を溜め、お米を作る田んぼのことを天水田と呼ぶ。天水田では、降るべき時に雨が降らないとお米は作れない。千葉県鴨川にある大山千枚田もそのひとつだ。小さな田んぼが無数に続く棚田はなんとも美しい。
梅雨の季節、恵みの雨があの田んぼに降っているかと思うと、雨降りもうれしくなってくる。
しかし、そんな美しい棚田でも、経済優先の世の中から見ると効率が悪く、減反政策の的にもなってきた。加えて、過疎化や後継者不足……。日本の原風景とも言える棚田は徐々に荒れていった。
ここ大山千枚田では、大山千枚田保存会による棚田のオーナー制度が5年前にはじまった。だまって指をくわえて見ていれば、多くの人が米作りをあきらめてしまったであろう棚田は、米作りを体験したいという人たちの場として、活気に満ちていた。
「国の政策なり、経済状況の中で、どんどん切り捨てられていく田んぼ。そういったことをなんとかしたいっていう気持ちがずっとあったんです。そして、地域だけで変われなかったら、やっぱり他の人たちと一緒に変われる方法を見つけるっていうのが、最終的に辿り着いた結論でした。いま、減反の問題も含めて、土地が空いてきています。もうひとつは、若い人がいない。後継者がいない。爺ちゃん婆ちゃんばっかり。爺ちゃん婆ちゃんばっかりっていうのは、ネガティブに考えたら非常にマイナスですが、逆に、いわゆる循環型農業だとか、スローライフっていう考え方をするならば、彼らはそれを体験した人たちなんですよ。そういった技術なり知識を持った人たちなんです。そういったことを伝えられる人たちって言ったら、爺ちゃん婆ちゃんなんですよね。ポジティブに考えれば、ここには農を体験する環境が整ってるってことに気づいたんです」
そうした気づきから、棚田での稲作を通じた、都会との交流がはじまっていったのだと、大山千枚田保存会理事長・石田三示さんは話をしてくれた。
時代は変わり、環境問題や食問題といった世の中の行き詰まりから、循環型社会やスローライフといった考え方に人々の目も向きはじめている。今年のGWには1400人もの人たちが田植えに集まった。農に関心を持ち、関わりながら生きていく人たちが増えはじめているのだ。それは、40%だと言われる国の食料自給率なんて関係なく、自分たちの食料自給率を高めることにもつながっているように思う。
都会の人たちは、ここで、自分たちが生活していくための農を学び、農村には、新しい文化や人がやってくる。そこに定住する人も現れる。そうして、農村は活性化していく。
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