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環境循環型農業を展開。
「おじいちゃんが生きてたら、この田んぼを見せたかったね。うちの稲は、粒がいっぱいついているんです。穂も長い。重い穂を、太くてしっかりした茎が支えてる。弾力のあるきれいなカーブを描いて曲がってるでしょ。風に吹かれると、大きく揺れて、抜群に美しい」
伊藤幸蔵さんの田んぼを訪ねた。伊藤さんは、89年に就農。以来、無農薬で水稲耕作にチャレンジし続けている。95年に、(有)ファーマーズクラブ赤とんぼを、仲間10名と設立した。
「大学から帰ってきて一番びっくりしたのは、若手が農村の中で発言したり、組織を作ったりするというのが、この地域になかったということでした。発言権も決裁権もなかった。これをやろうと。それから、収穫乾燥機や農耕機械に個人で投資するのは、だんだん難しくなってきていたので、そういうものも共有していきたいと思って、『赤とんぼ』を作ったんです」
2000年には環境管理の国際規格である『ISO14001』を、自分たちで取得。「地域農業と環境を守り、安全な食べ物を生産し供給する」というテーマの下、70名近い会員が活動している。
田んぼの生き物観察会。
いま力を入れているのが、『田んぼの生き物観察会』だという。
「最初はアンケートがきっかけだったんですが、都市の子供たちに、蛍や赤とんぼをどう思うって聞いたんです。『わかんないよ、見たことないんだから』っていう返事だった。見たことないだけならまだしも、除草剤でまっ黄色になってる田んぼや畦が、日本の景色だなんて思われたらたまらない。田んぼも畦も緑。それが日本の景色なんだって、わかってほしい。そう思ってはじめたのが『田んぼの生き物観察会』です。農薬や化学肥料を使わないことで、だんだんと生き物が帰ってきてるんです。田んぼには、生き物がいっぱいいたほうがいい。赤とんぼにしても、八割は、田んぼでふ化する。そういう生き物たちのためにも、田んぼを守っていかないといけないですね。よく考えると、俺たち人間も、田んぼで生きている生き物の内のひとつなんです」
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より広い地域へ。
次の世代へ。
「農業生産物は工業製品じゃないのに、扱われ方は一緒。どうしても無理がある。そのシワ寄せが生産者に来ている。環境を汚していると言われる。でも、消費地の人たちにも考えてもらいたいですね。ゴミや食べ方、自分の仕事が、環境にどうなのかって。企業に責任をかぶせるんじゃなくって、個人として一人ひとりが、環境にどうなんだってね」
『ISO14001』を取得する過程で、伊藤さんは、自分たちだけでなく、地域ごと変えていかないといけないと感じたという。地域を変え、水を変える。その広がりは、大きく日本、地球にまで目が届き、そして、未来をも見つめているのだろう。
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