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美濃太田駅から長良川鉄道に乗る。田園風景や長良川の清流を眺めながら、ガタゴトと揺られること一時間半。郡上八幡駅に到着する。木造の駅舎の前には、丸くて赤いポストも立っている。遠く山々に囲まれた昔ながらの町並みは、見事に自然と調和している。自分にもこんな田舎があったらと嫉妬するほどに、包み込んでくれるような優しさと懐かしさを持った街だ。 夜、浴衣に下駄で街に出る。今日、八月一五日は、郡上おどりの中でも、徹夜おどりと言われる四日間のうちの一日。橋本町から新町が会場となる。 まだ行ったことのない人に、徹夜おどりを説明するのは中々難しい。車が二台すれ違うことができるかどうかのまっすぐな道と、同じような道が直角に交わる交差点(ここの場合、「辻」と言ったほうが正しいだろう)がある。その辻にやぐらがあり、上に、三味線、太鼓、笛の鳴りものと唄い手が陣取っている。このふたつの道と辻が、踊る場所になる。人々は辻を中心に十字に輪を組んで踊る。音は生。演目も多い。「かわさき」「春駒」「ヤッチク」「甚句」「猫の子」…、まだある。それぞれの曲に、決まった振り付けがある。これを午後八時から明方四時、五時ぐらいまで、ひたすら踊り続けるのだ。笛、太鼓、三味線の生の音と下駄の音が絶妙に絡み合う。浴衣を汗に濡らし力強く踊る若者がいるかと思うと、芸術的な動きをするおじさんがいる。揃いの浴衣で踊る観光客もいる。みんなが、陶酔と言っても言い過ぎでないほど、踊りの快感に包まれているように見える。 一説によると、郡上おどりのはじまりは四〇〇年ほど前にさかのぼると言われている。郡上藩主が、庶民のために踊りを盛んにし、その後、宝暦の百姓一揆の際、首謀者は捕らえられたものの、庶民の心の安定のために、この日ばかりは、士農工商、身分の分け隔てなく、踊りを楽しむようにしたという。 よそ者を拒むことのない素晴らしさも、郡上おどりの魅力のひとつかもしれない。来年もぜひ、来たいと思う。 |