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森を作り、心を育てる。 森作りは、自分の住むところでやるべきだと思うんです。森は少なくても100年という時間をかけて面倒を見なくちゃいけない。自分ができるだけ見て、可能性とできることなら予算を残して、誰か跡継ぎに託す。森へ木を植えに行く人がいます。決して悪いことではないのですが、森作りをしているわけではなく、木を植えているだけに過ぎません。 昔は、各藩に森作りのための責任者がいました。里山はみんなのものであって、森は藩のものか神々のものだったんですよ。だから、それぞれの場所で、それぞれのノウハウを活かしていたんです。しかし昭和になってから、森のことも日本全国でワンパターンで考えるようになりました。日本は北から南に長い。谷間から山の頂までの標高差もすごくある。急な山もあるから、森作りはワンパターンではできっこないんです。ちょっと変わったことに挑戦するっていう人間が、いないわけではないんです。でもエキセントリックな人は、日本では苦労する。英国ではエキセントリックな人はヒーローになるんですけどね。 自分の生まれた国ウェールズは、私の子供の時には森の面積がわずか5パーセントしかありませんでした。全部、国の産業のために破壊されたんです。森が駄目になったら、当然川も駄目になる。 1947年、3人の若い学校の先生が戦場から帰ってきました。子供達は恐ろしいことをいっぱい見ている。子供達に未来を信じる、生きるっていうことをどうやって教えればいいのか。森作りをすることから未来を信じる心を養おうと、3人は考えたんです。それで政府から10ヘクタールの土地を借りた。アファン・バリーという場所です。ブナとかナラとか白樺などの木々を植えて、子供達もトントンやって、小さなオンボロの小屋を造って、一生懸命森作りをしたんですね。協力する人も増え、森も少しずつ大きく豊かになっていきました。 日本の行く末に絶望しかけていた1980年代。久しぶりにウェールズを訪ねた際に、森の再生にかける人々の努力と情熱を目の当たりにして、私も文句を言うのではなく、心から愛する日本のために力を尽くそう、と心に決めたのです。今では、アファンバリーの森は1万ヘクタールまで大きくなっている。南ウェールズの森は60パーセントの面積に回復しています。川がきれいになって、鮭と岩魚が上がって産卵している。カワウソも戻ってきました。 ウェールズでの運動を手本に、私たちも黒姫の土地を買い、トラスト運動を始めました。その場所をアファンの森と名付け、生物の多様性に富んでいる森を作っています。「アファン」とは「風が通るところ」というケルト語です。いつもやさしい風が通ります。森はいろいろなものを与えてくれる。尊敬とか友情とか安らぎとか愛情とか。森を作るようになってから、言葉のない目に見えないものも感じるようになったんです。今までは大きな自然のなかでしか感じられないと思っていたんですけど、実はそうでもない。小さな林のなかにも、神々のような力があります。 |
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| 「もったいない」と 「いただきます」。 2001年からアースデイの実行委員長を務めています。代々木公園でのイベントは、みんなで考え、みんなで楽しもうという雰囲気に包まれている。大きな田舎の市場みたいなものだと思います。だから私も楽しんでいる。アイデアもいろいろ紹介されています。日本を良くしたい、しかも楽しく生きたいという人たちがたくさんいるんですよね。ただ大きな組織の力がないから、自分たちが弱いと思っている人が多い。でも今は繋がりができるから、結集して生まれる力は決して弱くないんです。 イベントでは、ディジュリドゥを吹いている若者の姿を目にします。その若者が、ディジュリドゥが上手になってオーストラリアへ行くとします。オーストラリアの少数民族に会って、ひょっとしたら一緒に暮らすかもしれない。彼らの問題、彼らの考えを知ることができる。自分のひとつのことから世界が見えるんですね。世界が広がっていく。 昨年のノーベル平和賞を受賞したケニアの環境副大臣のワンガリ・マータイさんが、「もったいない」という言葉が好きなんだそうです。「もったいない」という表現は英語にはない。ワンガリさんは「『もったいない』という言葉には、自然を尊敬する精神、有限な資源を効率的に活用する精神が含まれています。人類は、自然を搾取し侵すのではなく、大事にしなければなりません」と仰っています。私も「もったいない」と「いただきます」という日本の言葉が、昔から好きでした。 森作りも場所によっていろいろなやり方がある。伝統的なやり方と近代の技術をミックスさせればいいんじゃないかなと思うんです。人間の便利さと経済を優先させるのではなく、森を考えて山を考えて行動してほしい。どこでも山の奥で砂防ダムを造っている。鮭や岩魚が上がれない川になっています。その川にはコンクリートの堤防がある。ダムや堤防を造るために道を造る。道は浸食の元です。浸食された土が川に流され、砂防ダムもすぐいっぱいになってしまう。森の手入れをしないで、植えた杉はそのまま。「もったいないことをしないでよ、これ以上森を破壊しないでよ」と言いたいんです。 日本には里山という文化がある。人間が住む町と森林の間に存在する里山。里山がどうして長い間ちゃんと活きてきたのか。それは田んぼや田んぼを作っている人たちとの関係があったからです。里山から山菜やきのこなどはもちろんのこと、タンパク質や燃料もいただいていた。手入れがされないまま、里山が今ではほとんど藪になっています。 里山を活かして、森林を再生する。この日本が本当の可能性を世界で見せられたら、ものすごく良い国になれるんです。世界に良い影響を与えることができる。日本文化は、北から南までの自然の多様性が作った文化だと思うんですね。自然の多様性があるところにこそ本当の健康があり、未来を信じる力があると思うんです。 |
C.W.ニコル・アファンの森財団に関するお問い合わせ http://afan.afannomori.com |
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