『ディスカバー・ジャパン(再)』
ニッポン放浪宿ガイド200 BACKPACKER'S HOSTEL GUIDE in JAPAN
そういえばあれも万博のすぐ後でしたよね。
国内バックパッカーのための列島縦断安宿本。

文 ・ タキザー

 旅の思い出と共にいくつか記憶に残っている宿がある。
 バラナシからカルカッタへと向かう夜行列車の中、ものすごい悪寒に襲われた。全身からアブラ汗が噴き出し、下からは黄金色の液体が噴き出した。わけのわからんインド人たちで混雑した3等列車の車内はそれだけでも異様な空間なのだが、ガタガタと震え悪臭を放つ日本人がさらに状況を混沌とさせている。カルカッタまでの数時間、取る物もとりあえず、バックパックなんか放り出し、トイレと座席を何度も往復する。半死半生でようやく駅に着き、向かった先は「サルベーションアーミー」というゲストハウスだった。なんとなく旅の途中で「カルカッタへ行くならサルベーションアーミーというゲストハウスに泊るとよい」みたいな話を聞いていたので、というよりもガイドブックもなにも持っていなかった僕は、呪文のようにその宿の名前を連呼し、リキシャに揺られ倒れこむように宿に着いた。インド人たちが僕を囲み、マラリヤだアメーバだと論争しながら介抱してくれたところまでは覚えているのだが、気がついた時は病院のベッドの上だった。幸い一週間ほどで病状は回復した。赤痢だった。宿の主人が入院の手はずをすべて整え、帰りの航空券の手配までしてくれていた。地獄に仏とはまさにこのことで、「サルベーションアーミー」がまさに私を救ってくれたのだ。
 海外、とくにタイやネパール、インドのなどのアジアでは旅の安宿としてポピュラーなゲストハウスだが、これまで日本にはこのような安宿というものはあまりなく、国内を安く旅しようとすると、しかたなくヨコノリ系ユースホステルに泊ったりするほかなく、それが国内の旅をなんだかダサいものにしていた。しかし、近年日本全国でゲストハウスと呼ばれる安宿が増えてきた。不景気のせいもあるのだろうが、たいがい宿のオーナーが旅好きで、過去にアジアなどをバックパックでふらついてきた経験から、ゲストハウスをオープンしたというケースが多く、個性的でユニークなところが多い。形態もドミトリーと呼ばれる相部屋があり、値段もリーズナブル、宿泊者も日本人だけでなく、海外からのバックパッカーも多い。
 そんな国内の安宿を紹介したガイドブックが本書『ニッポン放浪宿ガイド200』だ。本書が、新宿歌舞伎町にあるトークライブハウスLOFT PLUS ONEとのコラボ企画というところもおもしろい。アンダーグラウンドでサブカルな匂いのする本書の中には、得体の知れない旅のワクワク感が満ちている。カニを1パイ食べれば宿代はタダという宿から、体育館がそのまま宿になった巨大ドミトリーや、スプーン曲げなど人間の潜在能力を開発してくれる宿など、本書をちょっと開いただけでどれもヤバそうな宿ばかり。もちろん日本に昔からあるような民宿や宿坊、ライダーハウスやユースなど、1泊700円からせいぜい3000円ほど、女性ひとりでも安心して泊れる安宿が200ヶ所も紹介されている。
 また、誌面で紹介できないのが残念だが、本書のPV(プロモーションビデオ)がこれまた秀逸だ(LOFT PLUS ONEで不定期に上映)。まさにサブタイトルにあるように「人生を変える旅、運命を変える宿」というテーマで構成されたショートストーリーが展開される。女に振られ、会社を辞め、死をも考えた主人公があてどのない旅に……そして彼がそこで出会ったものは……。PVのなかでは大槻ケンジ氏のスペシャルコメントなども挿入され、感動のエンディングでは思わず涙が……。
 そもそも、沖縄や北海道などではいくつか散見されたゲストハウスが、京都や東京というメトロポリタンな場所にも増えてきているのがうれしい。そこには、謎の長期滞在者や都会で一発当ててやると夢見て上京してきたやつ、アニメフィギュアを買い付けにやってきたオタク外人、忍者修行に来た東洋かぶれのアメリカ人などなど、国境を越え、民族、身分を越え、さまざまな人間たちが集まってくる。そんな混沌とした世界が、きっと旅を有機的なものにし、ややもすると人生さえ変えてしまう……。旅のデスティネイションとしてのニッポンには、まだまだ発見がありそうな気がする。


山と溪谷社刊 206P 1200円+税

『魂の民主主義 ー 北米先住民・アメリカ建国・日本国憲法』 星川 淳
魂の自由=平等を求めて。民主主義の源流を探る。

文 ・ 片岡一史

 イロコイに行きたかった。チャンスはあった。97年に平和を願い「サバニ・ピース・コネクション」を敢行した喜納昌吉さんが、翌年98年「白船」と題し、黒い船ではない、白い船で、平和の願いを積み込んでアメリカに向かうムーブメントを企画。アメリカに、平和の白い楔を打つと。その最終目標が、イロコイ連邦だったのだ。「白船」ムーブメントの前段として企画されたセイクレッドランのスタート、与那国島には立ち会った。その時、喜納さんのスタッフに、はじめてイロコイの話を聞いた。
 イロコイ連邦。北米、オンタリオ湖の南東に広がるこのテリトリーは、アメリカ合州国の中でありながら、足を踏み入れるには、独自のパスポートを必要とし、FBIなど合州国政府の捜査権もおよばないという。さらに詳しく、イロコイのことを知ったのが、星川淳さんの本だった。
 そして最近、星川淳さんの書き下しが出版された。終戦被爆から60年を迎えた今年、憲法について、9条について、いろんな場所で議論されている。議論されていながらも、どこか、危険な方向に向かっている気がしてならない。そんな時期に、この本は心強い。「はじめに」の最後で星川さんが語る。
『第1章「平和の白い根」では、伝説的な社会改革者ピースメーカーによるイロコイ連邦の建国物語と、いまも存続する母権民主制のあらましを紹介する。
 第2章「生命と自由と幸福を求めて」では、コロンブスのアメリカ”発見“から十八世紀末の合州国成立にかけて、北米とヨーロッパを行き交った知と情念の相互作用が、先住民社会とどうかかわったかを振り返り、アメリカ建国のインディアン・ルーツに迫る。
 第3章「臣民から市民へ」では、現存するイロコイ人の肉声をまじえつつ、新生アメリカ合州国がどんな自由と民主主義を育ててきたかに目を凝らす。
 第4章「真珠のワンパム」では、”押しつけ“といわれる日本国憲法誕生のドラマから、戦後六〇年で私たちが受け取ったもの、受け取らなかったものを読み解き、21世紀の日本と世界にふさわしい生き方を問う。
 結びでは、残る課題を描き出したあと、一人ひとりが新しいピースメーカーとして歩き出すところで読者とお別れしたい』

築地書館 142P
1,575円[税込]

『玄米・野菜のナチュラルレシピ ホールフードクッキング』
タカコ・ナカムラ
Whole Foodの専門料理書ができました

 地球にやさしいシンプルで美味しい料理レシピが満載。ブラウンライス・カフェのプロデューサーであるタカコ・ナカムラさんによる「Whole Food」をテーマにした専門料理書が出版された。玄米や野菜を和・洋・中にこだわらず、全部まるごと使ったスタイリッシュなホールフードクッキング・レシピには、料理プロセスもすべて写真入りでわかりやすく解説されている。さらに、ホールフードとは? ホールフードにたどり着いた訳といった話もビギナーにわかりやすく解説されており、読みものとしても小さな感動を与えてくれる一冊に仕上がっている。植物性素材を中心とした51品の料理と、卵も乳製品も砂糖も使わないスウィーツ8品を紹介。

柴田書店 112P
1,995円[税込み]

『エコロジカル・フットプリントの活用』
ラニッキー・チェンバース、クレイグ・シモンズ、
マティース・ワケナゲル
日本人の暮らしは地球2.4コ分!

 もし世界中のひとびとが日本人のような暮らしを始めたら、地球は2.4コ必要になる! で、これがアメリカ人なら、5.3コ分。やがて中国やインドのように急成長を遂げる国々が地球何コ分もの暮らしをするようになったら? たったひとつしかない地球に生きる私たちはいったいどうなる!?
エコロジカル・フットプリントは、人間が環境にどれほど影響を与えているかを「地球何コ分」という尺度であらわす。すでに世界各地の都市や企業、学校、家庭などで使われている。「地球1コ分の暮らし One Planet Living」を実現するために、私たちはなにをしたらいいのだろう? エコロジカル・フットプリントはその気づきのための格好の道具であることを、本書は豊富な実例とともに教えてくれる。

インターシフト 268P
2,200円+税

『もったいない MOTTAINAI』プラネット・リンク編
あぁ、もったいない、もったいない

 近ごろの日本人はよくモノを捨てる(色んなモノ、食べモノ、色んな文化、誇りまでも)。ごみの日に、まだまだ使えるモノがごみ捨て場に捨ててある。あぁ、もったいない。尊敬の念を忘れてしまっているのでは。モノに対しても、人に対しても。便利なモノが一番良いと思っている人たちがいる。お金があれば何でも手に入ると思っている人たちがいる。日本は大量のモノを世界中からお金を使って集めまくっている。本当にそのようなモノで私たちの心はみたされているのか。どんどん、地球が壊れていく。今、あなたが未来のシアワセを望むなら、何が必要で、何が必要でないかを、本書からもう一度考えてみてはいかがだろうか。(ダイチ)

マガジンハウス 49P
952円+税


この本の売上の一部はワンガリ・マータイさんの「グリーンベルト運動」に寄付されます。