恵比寿にある、ティピとかまどのあるお店

かまどで炊いた黒米のおにぎりは、オープン以来の定番メニュー。2個で540円。ゴマししゃも680円。アボガドとタコとモツァレラチーズに、ニンジンを摺ったドレッシングをかけたアボタコサラダ790円。決してオーガニックというような特別な意識ではなく、おいしくってボリュームがあるメニューが多い。


自分たちが気持ちよく楽しめるイベントでは、お店を出す事もしばしば。フジロックのフィールド・オブ・ヘブンへの出店は今年で3年目となる。さらにお休みの日曜日には、手作りもの中心のマーケットやライブイベントの企画もある。

 ツタの絡まるサンタフェ調の壁をくぐり一歩入ると、店内は日本の古い民家へと姿を変える。左手にはこじんまりとした厨房あり、真直ぐに庭へと抜ける土間。そのかたわらにはかまどが置かれている。夜になると、この特製のかまどに火が入る。廃材を利用した薪を燃料に、玄米と黒米をブレンドした黒米ごはんを炊き始めるのだ。店内には一気に煙りが充満し、目に涙が溜ってくる。けれど、どこか懐かしさすら感じさせるし、お客としてその場に立ち会う事に楽しみすら感じる。
 昔は、どこの家でも主な燃料はわらや薪だった。日本人の日常の煮炊きの道具であったかまど。ここ縄では、そうした日本の伝統文化の象徴として、かまどで炊くごはんを大切にしてきた。薪で炊いた黒米おにぎりは格別に旨い、そして、心も身体も元気にしてくれる。そしてもうひとつ、中庭には北米先住民の象徴とも言える移動式の住居ティピが佇む。東京の中心にあるレストランの庭にティピがあって、そこで食事が楽しめるのだ。ティピとかまど。ふたつのネイティブが縄で繋がっている。
「現代の日本は、精神的に最高に病んだ状態。逆に言うと縄文時代っていうのは、我々日本人が一番おおらかだった。そういうものにあやかりたいっていう気持ちから縄という名前にしたんだ。それにいろんな人と繋がっていく、手をつないでいきたいっていう願いも込めたんだ」と、お店の用心棒的存在である菊池さんが話してくれた。
 桜の季節には、中庭の桜を眺めながらのお花見。七夕には笹に願いを書いたり、正月は餅つきからお店の一年が始まる。日本の季節をきちんと感じられる時間の流れがまた心地よい。「おいしいごはんとお酒があって、そこに人が集って、何かが生まれるのが楽しい」とは、女将のカヨさん。
 都会の中にあって、まるでコミューンのような自由な空気感を持った空間、縄。ゆらゆらと燃える優しい炎を眺めながら周囲の客とも気軽に話が弾んでゆく。

東京都渋谷区東3-20-1
TEL&FAX:03-3400-7533
営:18:00〜24:00 休:日・祝
恵比寿駅西口を出て、駒沢通りを明治通り方向へ。大きな交差点を過ぎてひとつめの路地を左折。しばらく歩くと、ツタの絡まる建物が左手に見えてくる。