アースセレブレーションという祭りを体験してからというもの、祭りというものの好みが大分変わってしまったらしい。ゆっくりと流れてゆく島と人のリズム、踊りや太鼓といった伝統芸能の数々、日本海の雄大な海、懐かしさあふれる港町の商店街。いろいろな感動があって、アースセレブレーションのどこに惹かれているのかまだよくわからないけれど、独自の伝統文化を持つ島で開催されることが要因なのか、この祭りには、いままで参加してきたキャンプインフェスなどにはない味わい深さを感じている。夏が近づくだいぶ前から、今年も佐渡に行こうと心に決めていた。
 アースセレブレ−ションを語るとき、まず話題に上がるのは、佐渡を拠点に活動する和太鼓集団、鼓童の存在だろう。伝統的な音楽芸能に無限の可能性を見いだし、現代への再創造に挑む彼らの音楽性と創造性の豊かさ。その演奏を聴く度に、パーカッシブな音の波から生まれ出る鼓童のビートに心が震える。
3日間に渡って祭りのメインを飾る鼓童や、毎年海外から招かれるゲストアーティストたちのステージは、毎日、日暮れとともに始まる。だから、それまでは自由時間みたいなもので、気の向くままに手作り感が漂うフリーマーケットや、芸能や踊りといった参加型のワークショップを楽しんだりしていればいい。
 でも、今年の3日間は、佐渡の島内を巡る旅にでかけることにしていた。海を背景に美しい田んぼの風景がいたるところに現れる。こんなところにまでと思えるような山の斜面にまで田んぼがあったりもする。そうした景色を楽しみながら車を走らせていくと、今度はなんともノスタルジックな漁港が目の前に現れる。さらに先に進むと、今度は不思議な形をした巨大な岩が……。いろいろな景色が次々に飛び出してきて面白い。
 夕暮れ時になると、小木の木崎神社にはたくさんの人が神社の上のメインステージへの順番を待っている。
今年のゲストには、スペイン・ガリシア地方からカルロス・ヌニェスを迎え、ガイタというバグパイプの演奏と鼓童の競演が実現した。鼓童のビートとヌニェスの美しいメロディを聴いていると、小さな森の中に日本の風景とアイルランドの風景がイメージとなって現れてくるのが印象的だった。たくさんの人が楽し気に踊っている。これだけのレベルの高い演奏を、このような気持ちのいいバイブレーションに包まれて聴けること自体、稀な体験だった。今年は大当たりの年だと誰かが話していた。
 毎日、どこまでも続くかのような風光明美な景色や海水浴、演奏、佐渡の旅を楽しむことができた。すでに18回を数える祭りだからこそなのか、おおらかな島の人たちとの一体感がなんとも言えない安心感と安らぎを与えてくれていたように思う。これがいいのかもしれない。最終日には小木から出航する船を鼓童のメンバーが送り太鼓で見送ってくれる。これがまたうれしくてかなしくて泣けた。