

Lj HOME > Live Report > No.005/Qutima vol.3
Text & Photo : ワタナベゴー&Kauzyoshi Janta Ueda




4月になった。桜も散り始め、気温は日々上下している。Qutimaも数えればもう3回目だ。今回のゲストは2組。
ギターとハーモニカを携え、コミカルな関西弁を操るCutman-booche。明るく元気な曲調が会場の空気を熱くする。「大阪からまた来ます」という声を残して、颯爽とステージを後にしていく。
曲調も見た目も一変し、2組目はスクービードゥー。場内には熱心なファンが多く、ボルテージが上がっている。Voも興奮の余り衣装が破けたようで、袖に引っ込む間、バンドは短くインプロを挟む。一旦始まったら留まることを知らない直球の連続。正直、変化球も観たかった。
気を取り直して約4ヶ月振りとなる、4人の登場を待つ。優真(Vo)は入院中、「3人の音がどんどん成長していく」と言っていた。確かにそこには、4人の時とは違うスペシャル・アザーズが生まれていた。
「Sunshine」で幕を開けた今夜のステージは、久しぶりに4種の音色に包まれた。はしゃぐようなギター、静かに燃えているベース、全体を引き締めるドラムに、今まで欠けていた鍵盤の音が、3人のアザーズに向かって懸命にドアを叩いている。「NgoroNgoro」でヤギ(G)のフレーズが始まり、場内は一層の盛り上がりを見せ始める。久々に聴く「Cacao」。優真の声が、前よりも高く抜けていくように感じる。
4ヶ月間の休止は、きっと本人にとってはひとつの試練だっただろう。置いていかれる不安、うまく戻れるか分からない不安、ライブをやりたいのにできないもどかしさ、焦り。ヤギ、又吉(B)、良太(Ds)の3人にとっても、音のひとつが欠けることで、曲のアレンジを変え、取らぬマイクを取り、それでも一定のレベルを保たなければならない、試練だっただろう。プラスに加えてマイナスがあって初めて、幅が広がり、ゼロも生まれる。音楽に限らず、人の創り出すものも人も全て、幅の中で生きている。優真の声に感じたもの、それはきっと、4ヶ月がなかったら得られなかったものだろう。
新曲となる「Idol」から、きっと3人のアレンジで最も苦心していたのでは、と思っていた「Random」へと続く。この曲での鍵盤の音は、やはり欠かせないポイントになっていると思う。そして、愛あるブーイングを受けながら「最後の曲」との前置きで「UncleJohn」へ。オーディエンスに相対して歌う優真と、コーラスを取るヤギ。バンドメンバーがお互いを慈しんでいる様子が、そしてバンドとオーディエンスがそれぞれ強い気持ちを抱いていることが、ひとつひとつ一緒に歌われるフレーズから感じ取れる。
あっという間にセットが終わり、アンコールはいつも通り「Ben」。優真の笑顔がいつも以上に弾けていたのは、きっと会場の皆が感じていたことだろう。
僕はやっぱり、アザーズが好きだ。自分の根に深く響いてくる、この音と集まる人間達が好きだ。ふんわりと軽くなった身体。街を走る風に、かすかに桜の残り香が交じっていた。