

Lj HOME > Live Report > No.020/Sardine Head
Text & Photo: Kazuyoshi Janta Ueda







いつもの町のいつものベニューで見慣れた、ひいきのバンドのショウはそれぞれ素晴らしい。だがもし、彼らが違う土地で演奏することになったのならぜひついて行くべきだ。ライブを体験するということに旅というキーワードが加われば、その言葉につながる数多の未知との遭遇があるだろう。そして、忘れ得ぬ思い出となっていつまでも心に残るのだ。
サーディンヘッドは東京都内と関東近郊を主な活動場所とするバンドで、新潟県で行われた野外イベントに一度だけ出たことがある以外は、他の地域で演奏したことがなかった。大阪のジャム・ミュージック・ファンたちからの熱いラブコールに応えて、バンド史上初となる大阪公演が2006年10月14日(土)、大阪は北堀江のClubVijonにて開催されることになった。
ショウ開催のアナウンスが公式にされてから、行く気満々なファンたちの関心は、どうやって大阪まで行くかに移る。時間を買うのが一番高い今の世の中…安価な夜行バス、新幹線、クルマ、バイク、そして飛行機…。自分が選択したのは夜行バスで、東京駅から大阪駅までを休憩1回で突っ走る。バスにもいろいろグレードがあるのだが、やはり一番安く4000円で行けるバスは、なかなかにきつい7時間を過ごす羽目になった。
時間があるならホテルで一休みしてライブに備えるのもいいが、せっかく遠くまで来たのだから観光もしたい。空きっ腹を抱え、食い倒れの町で名物を堪能した。ここでしか味わえないもの、見られないもの、会ったことのない人たち、ホームタウンと違うリズムとスピード…そんなことが旅の臨場感と共に、ショウへの期待が高まっていくのを感じていた。
ショウが始まる前に、お好み焼き屋で今回のライブを実現させてくれたローカルの面々と合流。バンドのメンバー、大阪入りした東京からの遠征組が続々と到着する。東京で毎回のようにベニューで会う仲間が勢揃いしている光景に、自分がどこにいるのかわからなる。そしてお好み焼きとアルコール燃料が投入され… ウォーミングアップが完了…いよいよ時間となった。
会場のClub Vijonは地下のベニューで、そこそこの広さと高めの天井、そしてフロアから見上げる高さのステージと立派な作りだ。
ついに始まる、大阪初のサーディンヘッドのショウは、少し押してのスタート。ほぼ満杯のオーディエンスを前に、助走なしで一気に本編突入。初めて見るだろう人たちが大部分だと思うのだが、いつも通りの鰯ワールドをご覧にいれるのが本分とばかりに、変拍子の連続技で突っ走る。手加減なしで気合の入った演奏に東京から来たファンがのめり込めば、その熱気は音と共にじわじわとフロア全体に伝染。疾走感あふれる展開となれば、歓声が上がり踊り出す。
セットブレイクを挟んでのセカンドセットは、硬さがとれたのか、レスポール2機のぶっ放し加減たるやもう最高で鳥肌が立つ。スライド奏法の紡ぎだす音が、観客の両耳から侵入して脳のシナプスを容赦なく刺激する。サウンドシステムの出音がとても良く、タイトでツボをぐりぐり押されるようなドラムがびしびしと決まっていた。
やがて、東京勢が占めていたフロア前方にローカル勢がじわじわと前進を始め、混ざりあって踊る光景は美しかった。ファーストに比べ、セカンドセットの方が踊りやすかったので、初体験の人たちも楽しめた模様。
アンコールを求める声が大きくなり、サーディンヘッドが再び登場する。ここからが長かった。ノリの良いナンバーでフロアは再びダンス天国と化し、4人のアンサンブルが荘厳なインプロ展開となって30分弱はあっただろう。大歓声の中でエンディングと共にショウが終わった。これまで次々に更新されてきたサーディンヘッドのベストショウだが、塀を塗り替えるがごとく、今夜のライブがあっさりとテイクオーバーしたすごいショウだった。これほどのショウは、サーディンヘッドを初めて観たときの衝撃に近いかもしれない。
初の大阪公演は大成功となった。素晴らしい演奏をしてくれたサーディンヘッド、このショウを実現するために奮闘してくれた大阪クルー、そして東京から追いかけた鰯頭好きのみんなに感謝を。どうもありがとう。またこの地でサーディンが観られることを切に願う。