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No.028/ケラー・ウィリアムス

07年10月21日@代官山UNIT
ひとりが創り出す、めくるめく音の世界

Text & Photos : Kazuyoshi Janta Ueda

 10月18日に大阪からスタートし、名古屋と金沢でのショウを経て、10月21日に東京へやって来たケラー・ウィリアムス。
 最初に観たのは6年ほど前にThe Slipの来日公演でオープナーを務めたときで、バンドサウンドを自分ひとりでまかなう、彼の演奏スタイルとテクニックに度肝を抜かれたのだった。その後、フジロック・フェスティバルに出演したりもしているのだが、自身単独での日本ツアーは今回が初めてだという。
 会場となった代官山のUNITは開演前から熱心なファンが最前列に陣取り、開演時間が近づくと来場者がどんどん増える。やがて一杯になると静かな熱気が充満し始めた。
 今夜のオープナーは、オーストラリアから来たドレッドのブルースマン、アッシュ・グランワルド。リゾネーターギターを激しくカッティングしながら、パンキッシュなブルースを打ち込みのドラムを使いひとりで歌う。中盤でパーカッションを迎え、熱いジャムを披露していた。
 ステージ中央の両サイドにベースとギターをスタンドを使って置き、ミキサーとシンセが後ろにセットされる。程なくして現れたケラーは、アコギのインストからショウを始めた。そして設置してあったベースとギター、テルミン、シンセ、を操りミキサーを使ってサンプリングしては順にループさせていく。そしてすべての音が出揃い、優しくも力強いヴォーカルと重なった…。ひとりしかいないはずのステージから5人分の音がアンサンブルとなって聞こえる。時にひとりコーラスやホルンの口まねも加わって、目を閉じていると大所帯のバンドがジャムっているようにも思えてくるから不思議だ。
 演奏はは5年前に観たときよりも洗練され、無駄のない動きでステージを楽器から楽器へ移動する。CDで音を知っていても、実際にライブを体験して目の前で見れば、そのすごさと巧みさそして緻密な構成の妙に感心することだろう。
 前日の金沢公演ではGrateful Deadのカバーを結構やったとのことだが、ここでは「Scarlet Begonia」からPhishの「Wedge」、さらにデッドの「Fire Of The Mountain」がオリジナルの「Freekshow」と合体したものにつながっていく。そしてケラーの名曲「Breath」…心に染みるメロディの間に挟み込まれたのは「My Caddilac」で、もう一度「Breath」に戻った展開に拍手喝采。
 ブレイクなし長めの1セットを締めくくったのは、String Cheese Incidentでお馴染みの「Best Feeling」。ここでグッときた人も多かったことだろう。
 アコースティックとテクノロジーを合体させることで、自分の音を独特の世界へと昇華させ表現するケラー・ウィリアムス…最後まで全力投球のひたむきなプレイが光る。ひとりで創り出しているとは思えない、ハッピーなグルーブを堪能することができた。

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